共通テスト(特に数学)に思うこと。
ごきげんよう。
2024年の共通テストが終わりました。
DNC(大学入試センター)の平均点中間発表(1/17・その1)では、主要科目の平均点は以下の通りでした。1/19の発表でさらに変わる可能性があります。
| DNC(1/17) | 河合予想 | 駿台予想 | 前年 | |
| 英語R | 53.3 | 51 | 52 | 53.8 |
| 英語L | 68.5 | 67 | 67 | 62.4 |
| 数1A | 54.4 | 52 | 51 | 55.7 |
| 数2B | 61 | 58 | 58 | 61.5 |
| 国語 | 116 | 117 | 117 | 105.7 |
| 物理 | 64.4 | 63 | 63 | 63.4 |
| 化学 | 56.9 | 55 | 54 | 54 |
| 生物 | 55.7 | 55 | 55 | 48.5 |
| 世界史B | 63 | 61 | 61 | 58.4 |
| 日本史B | 58 | 56 | 56 | 59.8 |
| 地理B | 68.4 | 66 | 66 | 60.5 |
| 倫政 | 62 | 61 | 61 | 60.6 |
| 現代社会 | 57.4 | 56 | 56 | 59.5 |
(緑・赤=前年比2pt前後の上下/青=前年から大幅アップ)
終了後から1~2日間は「英語・数学とも難化」と言われていましたが、河合・駿台の予想平均点よりDNC集計が軒並み2~3点高く、結果的に昨年とほとんど同じ得点域に落ち着きました。
大きく平均点を下げた科目は主要科目にはありません。
無論平均点だけではわからないこともあり分布も見ておかなければならないし、まだ最終値ではないので流動的ではあります。
しかし大きくは動かないでしょう。
問題の質は相変わらず微妙でした。
「共通テスト」なわけだから、平均点はやはり60~65に安定してほしいところです。
人気サイト『受験の月』が過去30年近くの平均点をまとめてくれていますが、昔は70点近い平均点になることもよくあったのに、最近では「50点を超えると普通のテスト」のような印象があり、非常によくない趨勢です。大学入試共通テスト平均点推移(1997-2024)(旧センター試験)、2024年共通テスト日程過去の共通テスト(旧センター試験)の平均点推移と今年の共通テストの日程。独自に総合点も計算しているので難易度の変化がわかりやすく、他科目と比較しやすい表にしています。examist.jp
思えば2021年からセンター試験が共通テストとなり、受験生はコロナ禍で苦しめられました。
そして今回が4回目。
悪い流れが定着しつつある気がしてなりません。
数学を例にとれば、
・冗長な文章と、選ぶのに時間のかかる選択肢。
・ふつうの問題集や教科書には載っていないような思考の流れをたどる必要がある問題の増加。
・知識だけで気軽に解ける問題の減少。
・時間の増加、問題数の増加。
などなどです。
現段階で私が共テについて考えていることは以下のような点です。
1.一般的な偏差値50前後の生徒には歯が立たない問題が多い。
全体受験者は減っているものの、全受験者に占める上位層が厚くなっているのではないか。一方、中堅下位層は共テの受験そのものから離脱しているのではないか。
2.私大共テ利用は今後減っていくかもしれない。
MARCHでおよそ8割平均の得点が必要なため上位国公立の押さえとしてしか機能していない。
一方、本当にMARCHを第一志望として入りたい人は一般入試に回るしかなく、チャンスが減っている。
私大共テ利用にあまりメリットがなくなってきた。
大学側は歩留まりを読みづらくなっているのではないか(共テから独自問題に戻す青山学院などの学校も出てきている)。
3.来年度以降さらに教科数が増え不毛な戦いになる。
第二次コロナ世代である新高3生(中3~高1の頃の基礎学習が不安定)にとって「情報Ⅰ」の増加や「数学C」が入ってくることなどにより今以上に負担が増える。
そのような中で英語長文の絶対量も増えたりして、難易度がさらに上がる。
DNCは暴走気味であるが、果たしてどうするのであろうか。
4.推薦・AOが増える昨今、共テの利用価値は一層下がる。
めんどくさい共通テストなんて受けなくても「いい大学」に入れる道を選ぶのは当然であるから、さらに「共テ離れ」が進みそうである。
しかもクイズのようなわけのわからない問題の対策を進めるよりも自分のやりたいことや考えていることを評価してくれる入試に流れるのは当然である。
・・・こんなところでしょうか。

さて、私は数学塾を運営しているので数学についてもコメントしておきます。
問題の質、難易度について★印3段階で表示します。
【数学ⅠA】-----
第1問
[1]√13の近似値について(質★/難易★★)
いきなりイヤな感じの問題で、何をしているかわからなかった受験生も多かったのでは。言われるがままに式を変形するだけの問題に何の意味があろうか。
[2]三角比(質★★/難易★★)
これは悪くない問題だと思うが、最後の計算がハードである。もう少しここに誘導つけてよ。
第2問
[1]2次関数(図形上の点の移動)(質★★/難易★)
前半は取りやすい。2次関数のグラフを2つくっつけて書かないといけないのでグラフ用の方眼くらいつけてあげたら?
[2]データ分析(質★★/難易★)
リード文に1ページ取らないでもうちょい減らそうよ。冗長だよ。まあ全体的にデータ分析は短くなってよかったけど。
第3問 確率(条件付き確率など)(質★★/難易★★)
まあ納得感はある問題でしたが「そろう」って何?イメージしにくいです。もうちょっと他の表現があったのでは。
第4問 整数(N進法と不定方程式)(質★★★/難易★★)
個人的に今回の数ⅠAのなかでは最も良問だと思いました。
n進法もうちょっと授業でやっておけばよかったなぁ…。
第5問 図形(メネラウスの定理と円)(質★★★/難易★★)
前半はよいでしょう。星形を使ったところは斬新。
でも、最後の円の話、いります?
問題減らしてあげようよ。
<総評>
「やや難」レベルの問題が多すぎ。[2]ができないと点数が大幅に下がりそう。もう少し簡単に解ける安心感を与えてくれる問題を増やしてほしい。問題作成チーム、頑張りすぎ。
【数学ⅡB】-----
第1問
[1]対数と領域(質★★/難易★★)
うーん、なんでいきなりk底から始めるかなぁ。1行目からこれじゃ、受験生がかわいそうでしょ。もう少しスモールステップを踏まないと。
領域にからめるのはよくあるしこれはよかったと思う。
[2]因数定理・剰余定理(質★★/難易★★)
これはまあまあ面白かった。
ただ、数ⅠA的な要素(必要性・十分性の検討)を数ⅡBに入れないでよ。
剰余定理、因数定理の本質的な部分を理解していないと解けなかった問題。
第2問 微分積分(質★★★/難易★★★)
これも良問なのですが、文系の受験生も受けてるんですよ?ちょっと理系色が強すぎませんか。
にもかかわらず、最後はベタに「三次関数が変曲点について点対称」というよく知られた事実を証明させるとか。ここは作題者の自己満足だなぁ。
第3問 統計(次年度出ますけど…今回は省略)
第4問 数列(質★/難易★★)
これが最もイライラしましたね。
なにがって、(3)です。
いやまあ、言いたいことはわかりますよ。時間無制限なら良問と言えるかもしれません。
でも、見慣れない形を敢えて与えて、定数列の場合と(2)の形の数列の場合についてわけて考えさせるとか、ここはかなり思考力と所要時間が必要であり、残り時間的に4問目でこんなものをちゃんと考える時間残っていないでしょ、という点で悪問であると言わざるを得ないですね。
第5問 空間ベクトル(質★★/難易★)
あのですね、数列と難易度の差が大きすぎますよ。
まあ数列とベクトルを選ぶ人が多いんでしょうけど、空間ベクトルにしてはオーソドックスすぎるし、小問も少なく簡単すぎます。問題作ってる人が第4問とは明らかに違いますね。
バランスが悪いという点で質は低いと思います。
<総評>
全体のバランスが取れていないテスト。
ひとりの人がつくるのは難しいんでしょうけど、ちょっと組み合わせが悪すぎます。
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ということで、2024の共通テストは終了しました。
受験生のみなさんは、とにかく「最後まであきらめず」ただし「冷静に受験校を選択して」がんばってくださいね。
応援しています!!


