過去問の開始時期と進め方についての対立意見への答え。

元のブログ(2017/9/13)はこちら

ごきげんよう。

9月に入り、世の受験生はあと半年弱で目標を達成しなければならない時期になった。

夏は日が長くどうしても時間がたっぷりある気がしてしまうのだが、秋分の日を過ぎたころからは日が早く沈んでしまうせいか、残り時間の短さを感じるようになるものだ。

我が塾には今年も中高大の受験生がそろっているが、私がこの時期最も重視しているのは、残り時間をどう効率よく使っていくかという点である。

当たり前に聞こえるかもしれないが、意外とそうでもない。

志望校もほぼ固まった今、最短距離を進まなければ合格を達成しえない場合が多い。しかし9月に入ってもまだ、最大公約数的な勉強しかしていなかったり、自分の受験する学校のレベルとかけ離れたレベルの勉強に終始してしまうことがある。

それではせっかくここまで貯えてきたものも水泡に帰す。

簡単にいえば、自分の入りたい学校の出題傾向やスタイルやレベルにあった学習をしないと不合格になる可能性が高いということだ。

志望校対策といえばその代表格は「過去問演習」だが、この過去問演習の進め方には諸説ある。Q&A形式で書いてみる。

【Q1】

「第一志望のものは最後に解け」と言われましたが本当ですか?

【A1】

「第一志望こそ最初に解くべきです。」

第一志望は最後に解けという考え方は、「第一志望の問題は温存しておき、学力が完成域に達した最終段階で腕試しに使うべきだ」という意味合いだろう。

しかし、なぜ「一番手に入れたい合格」に向けた学習を最後にするのか?

まずこれが理解に苦しむ。

最も入学意思の強い学校の研究こそ最初に着手すべきだ。

それに、こと算数・数学は、入試本番における合格ラインでもだいたい6割程度であり、9月にやろうが10月にやろうが点数の増加幅はそれほど大きくはない。であれば早く解いた方が対策期間が長く持てる。

さらにいえば、第一志望のものを直前の1月に初めて解いたとして、そこで3割しか解けなかったらどうするのか。

もう軌道修正は効かない。

早く着手すればするほど軌道修正の時間が有効活用できるというものだ。

#このような考え方はおそらく「過去問は力試しのためにある」という根本的な誤認識から来ているのでしょう。

#「過去問」は問題集として最高のものであり力試しのためだけに使うのではもったいない、という考え方が正しいと私は考えています。

【Q2】

「過去問は10月下旬から始めろ」と言われました。大丈夫なんでしょうか?

【A2】

「明らかに遅すぎます。」

上記①の理由にも通ずるが、ふつう3~5校分、しかも受験する全教科分を解かねばならないわけであり、仮に1教科にかける時間が1時間としても1校あたり

1時間×4教科×5年分=20時間(中学受験の場合)

・・・これくらいはとらなければならない。

これが3校だとしても60時間である。

解き直しや解説を読む時間も入れれば100時間を超えることもある。

私は中学受験で平均60時間程度、高校受験で80時間、大学受験で100時間程度の過去問演習の時間が必要だと考えている。

それを確保するには、もう今すぐにでも解き始めないと遅いということになるだろう。

(もちろん、中3・高3でカリキュラム進度の遅い学校の生徒の場合、理社などでまだ「単元学習が終わっていない」などということもあるのでその場合はやむを得ないが)

※多くの中学受験塾では「指示があるまで自分勝手に過去問をやるな」という指示を出しているところがあるようだが、これは無視したほうがいい。なぜかというとこの指示は「模試だけで測れない生徒の実力を正しく測定するために過去問をなるべく遅い時期に初見の状態で解かせたい」という塾側の思惑からきている発言にすぎないからである。

【Q3】

「古い年度のものから解け」と言われましたがそれで本当にいいんでしょうか?

【A3】

「学校の出題傾向次第です。」

たとえば横浜市大医学部などのように数年~10年周期で似たような問題を出題する(使いまわしている?)学校もある。

(入試問題を作る人間は必ず過去の出題を見てから作っている。また他校の問題も必ず参考にしている。問題を作る方もとにかく大変なのである)

そういう学校では「温故知新」で、新しいものより5~10年古いもののほうが再度出題されやすい場合がある。

その場合には新しいものから順に古いものへと進んでいき、たとえば5年前の入試問題の印象を頭のなかで一番新しい情報としてインプットしておくことでリマインドしやすくするという方法があるだろう。

しかしそのような傾向がない場合には古い順に解いていき、最新年度のものを最後に解いたほうがいい場合もあるわけだ。

他にも、指導要領改訂に伴う出題範囲の大幅変更や学校側の改革的な要素により過去の問題スタイルは二度と登場しないということもあるから、そのような場合には古い順に進めるべきである。

とはいえ、どうせ第一志望のものは2回は解くのだから、たとえば

H29 ⇒ H28 ⇒ H27 ⇒ H26 ⇒ H27 ⇒ H28 ⇒ H29

というふうにV字型に解くのも有効である。

【Q4】

「過去問は制限時間より少し短い時間で解けと言われましたが解き切れません」

【A4】

「制限時間ピッタリで解いてください」

よほど簡単で制限時間が余ってしまう場合を除いて、制限時間通りに解くべきである。

よく最後の見直しの5分を引いて・・・とかいう人がいるが、その5分を引いたら見直しができなくなるのは言うまでもない。

60分なら60分、80分なら80分の長さを体で覚えておかなければ、本番で適切な時間配分をできないことになるのだ。

ということで長々書きましたが、これをご覧の受験生ならびにその保護者の方々に少しでも参考になれば。

それではまた。